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夜中にふと目が覚めて、その暗さに閉口して枕元の灯篭に明かりを灯す。

人は、ひとり。

影は、ふたつ。

あぁ、と、また確認した。





(アンオフィシリアスSSです、苦手な方はご注意下さい)




 朝、障子の隙間から差し込む光の眩しさに、気だるげに瞼を開ける。そのついでに身体も上げた。
 しばらくして昨晩の事を思い出し、息を吐く。

「……まだ」

 赦されはしないらしい。
 言葉は微かに続いた。




 昼、縁側で暖かい日差しに当たりながらうとうととする。隣には猫が一匹、こちらもまどろんでいた。
 ふと、誰も居ない筈の空間に聞いてみる。
「…私を、殺したいのか?」
 返事は無い。
 ただ、猫が驚いてこちらを見た。
「……ならば殺せば良いだろうに」
 返事は、無い。
 と、
 少しだけ、振り向かない後ろの空気が動いた。
「………?」
 猫が、毛を逆立てて背後に向かい威嚇をする。
 気配が、ふっと遠ざかった。
 猫を見る。猫はしばらく威嚇をしていたが、しばらくの後にその場に丸まり、先ほどの興奮が嘘のように呑気に欠伸をした。
 釈然としない思いとは裏腹に、暖かい日差しはただ晴れやかだった。



 そしてまた、夜になった。
 布団の上に横になり、そろそろと灯篭の灯を消す。
 暗闇が訪れた。
 聞こえるのは自分の息をする音と心臓の音。
 と、
 とん、とんと、何かが歩く音がした。
 仰向けの自分の身体に、何かがのしかかる様な気配。

 ぎぃっ、

 首に感触があった。
 冷たい冷たい手の感触。
 ぎり、と力が籠る。
 空気が肺に入らない。
 息が出来ない。
 意識が、

「……っけほ……けほっ!」

 視界が黒になる前に、圧力が消えた。生理的にむせこむ。
 少し霞んだ目で暗闇を見ると、
 うっすらと笑う女性。
 白い死装束。
 口が開いて、

『いっしょうつぐなえばいい』

 と。
 残酷な言葉。
 切ない響き。
 手を離したのは生きる事から解放させないため。
 手を離したのは罪を償わせるため。
 確認。
 認証。
 証明。

「……分かって、……いる……」

 辛うじて擦れた声を出す。
 気配が、消えた。
 意識が、落ちた。



 朝。
 ほんの少しの風に、目を覚ます。
 何だろうと見ると、障子が少し開いていた。
 少し首を傾げて、首が痛いのに気付く。
 棚の手鏡を持ち出し、見ると、赤い跡が残っていた。
 誰かに絞められたような、手の跡。
 少しだけ、自嘲気な笑みが零れた。
「……忘れるわけ無いだろう」
 
 呟きは、虚空に溶けて消えた。



-了-


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